大奥 [映画]
『山田太郎ものがたり』のときもそうだったけれど、なぜ二宮に「超美形」の役がくるんだろ?
誰か目がおかしい人間がキャスティングしてんのか?
百歩譲って、顔の造作なんて、個人の好みの差でどうでも評価が変わるというのを受け入れても、身長はどうもならんだろ?
低い、低すぎる。
垣添より低いって、致命的。
演技云々の前に、ビジュアル的に無理があったので、せっかく漫画の映画化にしてうまくまとまっていた作品が、二宮のせいでぶち壊し。
アップになるたびに殺意が。
ってか、玉木宏が美形なので、よけいその落差が際だつっつーか。
役者としての二宮は、かなり好きな部類だったのだけれど、最近、なんか魅力が落ちてる。
アイドルものには向かないのに、やらされてるから仕方がないか。
今の年齢が一番使いづらいタイプかも。
映画自体はテレビ映画の類で、わざわざ映画館で見る必要もない。
衣装は豪華だったけど。
原作ファンとしては、加納久通役の和久井映見さんがハマってて嬉しかった。
好きだなー、久通。
誰か目がおかしい人間がキャスティングしてんのか?
百歩譲って、顔の造作なんて、個人の好みの差でどうでも評価が変わるというのを受け入れても、身長はどうもならんだろ?
低い、低すぎる。
垣添より低いって、致命的。
演技云々の前に、ビジュアル的に無理があったので、せっかく漫画の映画化にしてうまくまとまっていた作品が、二宮のせいでぶち壊し。
アップになるたびに殺意が。
ってか、玉木宏が美形なので、よけいその落差が際だつっつーか。
役者としての二宮は、かなり好きな部類だったのだけれど、最近、なんか魅力が落ちてる。
アイドルものには向かないのに、やらされてるから仕方がないか。
今の年齢が一番使いづらいタイプかも。
映画自体はテレビ映画の類で、わざわざ映画館で見る必要もない。
衣装は豪華だったけど。
原作ファンとしては、加納久通役の和久井映見さんがハマってて嬉しかった。
好きだなー、久通。
悪人 [映画]
平日なのに結構混んでいた。
キャタピラーもそうだったけど、女性客多数。
たんにレディスデーだったせい?
とにかくふかっちゃんが綺麗。
圧倒される透明感が受賞理由かな?
春琴の再再演たのしみ。
映画自体は、とくにどうというものもなく。
15分くらい長い。
内容も、感銘は受けない。
殺された女の子は殺されるような悪いことはしていないが、
生前はたぶん、周りから顰蹙買ってるウザイ女だったし。
殺人犯も、悪人ではないとはいえ、殺しちゃだめでしょ。
母親に捨てられても、おばあちゃんが愛して育ててくれたんだから、
孤独ではなかっと思うのだが。
そうなのだ。
なぜ、あそこまで2人が寂しがりやなのか、まったく理解できない。
たぶんそれは、主演のふたりが、器量よしだったせい。
ブッキーは、途中顔が変わってすっげー不細工になったけど。
やっぱし、彼本来の特質である、天真爛漫さは隠しきれないし。
ふかっちゃんは文句なく美しいし。
だから、ふたりがなぜあそこまで疎外感を感じて、孤独であったのかが、理解できない。
これが、映像化の弱点だな。
キャタピラーもそうだったけど、女性客多数。
たんにレディスデーだったせい?
とにかくふかっちゃんが綺麗。
圧倒される透明感が受賞理由かな?
春琴の再再演たのしみ。
映画自体は、とくにどうというものもなく。
15分くらい長い。
内容も、感銘は受けない。
殺された女の子は殺されるような悪いことはしていないが、
生前はたぶん、周りから顰蹙買ってるウザイ女だったし。
殺人犯も、悪人ではないとはいえ、殺しちゃだめでしょ。
母親に捨てられても、おばあちゃんが愛して育ててくれたんだから、
孤独ではなかっと思うのだが。
そうなのだ。
なぜ、あそこまで2人が寂しがりやなのか、まったく理解できない。
たぶんそれは、主演のふたりが、器量よしだったせい。
ブッキーは、途中顔が変わってすっげー不細工になったけど。
やっぱし、彼本来の特質である、天真爛漫さは隠しきれないし。
ふかっちゃんは文句なく美しいし。
だから、ふたりがなぜあそこまで疎外感を感じて、孤独であったのかが、理解できない。
これが、映像化の弱点だな。
クレイジー・ハート [映画]
カントリーの音楽とアメリカの大自然が、泣ける。
行ったことのない、アメリカ南部だけど、自分の故郷のよう。
かつて一世を風靡したカントリーの歌手。今は落ちぶれて、ドサ回りの毎日。
アル中だから一日中酒飲んでるし、興業先で言い寄ってくる女片端から手つけるし。
ダメダメ男なんだが、歌は本物。
なんて才能。
だから、友達も仕事仲間も彼を見放さない。
彼の歌は人の心を打つ。
物語の骨組みは彼が自堕落な生活から立ち直っていく、予定調和なものだが、とにかく、主人公を演じたジェフの演技と歌が素晴らしい。
彼を恩師と慕い、師を凌ぐ人気を博す歌手となった役を演じるコリン・ファレルのお歌もすてき。
画面に思いがけずイケメンが映ると、なんか得した気分。
カントリーが聞きたくなる映画。
行ったことのない、アメリカ南部だけど、自分の故郷のよう。
かつて一世を風靡したカントリーの歌手。今は落ちぶれて、ドサ回りの毎日。
アル中だから一日中酒飲んでるし、興業先で言い寄ってくる女片端から手つけるし。
ダメダメ男なんだが、歌は本物。
なんて才能。
だから、友達も仕事仲間も彼を見放さない。
彼の歌は人の心を打つ。
物語の骨組みは彼が自堕落な生活から立ち直っていく、予定調和なものだが、とにかく、主人公を演じたジェフの演技と歌が素晴らしい。
彼を恩師と慕い、師を凌ぐ人気を博す歌手となった役を演じるコリン・ファレルのお歌もすてき。
画面に思いがけずイケメンが映ると、なんか得した気分。
カントリーが聞きたくなる映画。
タグ:クレイジー・ハート
キャタピラー [映画]
ネタバレあり。
寺島しのぶさんの演技が見たかったので。
話は、日中戦争から太平洋戦争にかけての時代を背景にした、夫婦のドラマ。
まず、戦争で両手足を失い、頭部にも重傷を負って聴覚と声帯も失った軍人が、クソがつくくらい下種な人間。
戦争に行く前は、子供が産めないからと妻に暴力を振るい、役立たずと罵って虐待する。
戦争中は現地の女性を強姦し殺す。
戦地から帰還して、「軍神」と政府からお茶を濁された男は、ただひたらすら性欲・食欲の権化と化す。
いくら現代とは感覚が違うとはいえ、あの時代でも女性を大事にしていた男性はいくらでもいるから、この「軍神」になった男は、どこまでも下劣で下品なだけだ。
そして、寺島さん演じる妻も、あの時代の特有の、どこにも行き場がない女。
だんなの世話をしながら、時折不満をぶちまける姿は、現代の「妻」にも見出すことができる。
たとえば、やりたい放題やってきたダンナを介護している妻。
妻を家政婦あつかし、浮気しほうだいの夫が寝たきりになった時、その妻がとる行動は、古今東西同じである。
憎しみ9割、愛情1割。
この夫婦間の下劣な関係に的を絞れば、人間の汚い本質をえぐりだせたのに、ヘタに戦争からめちゃったせいで、すごい白ける作品になった。
だって、あの夫婦は、戦争がなくても悲劇で下劣だもの。
なので、作品としてはイマイチだが、寺島さんの演技と元ちとせさんの歌は価値がある。
もともと我も性格も強い寺島さんが、夫のいいなりにならざるを得なかったあの時代の女性を、見事とは言わないが、さすがに演じていた。
しかし、わずか80分の映画なのに、長かった。
寺島しのぶさんの演技が見たかったので。
話は、日中戦争から太平洋戦争にかけての時代を背景にした、夫婦のドラマ。
まず、戦争で両手足を失い、頭部にも重傷を負って聴覚と声帯も失った軍人が、クソがつくくらい下種な人間。
戦争に行く前は、子供が産めないからと妻に暴力を振るい、役立たずと罵って虐待する。
戦争中は現地の女性を強姦し殺す。
戦地から帰還して、「軍神」と政府からお茶を濁された男は、ただひたらすら性欲・食欲の権化と化す。
いくら現代とは感覚が違うとはいえ、あの時代でも女性を大事にしていた男性はいくらでもいるから、この「軍神」になった男は、どこまでも下劣で下品なだけだ。
そして、寺島さん演じる妻も、あの時代の特有の、どこにも行き場がない女。
だんなの世話をしながら、時折不満をぶちまける姿は、現代の「妻」にも見出すことができる。
たとえば、やりたい放題やってきたダンナを介護している妻。
妻を家政婦あつかし、浮気しほうだいの夫が寝たきりになった時、その妻がとる行動は、古今東西同じである。
憎しみ9割、愛情1割。
この夫婦間の下劣な関係に的を絞れば、人間の汚い本質をえぐりだせたのに、ヘタに戦争からめちゃったせいで、すごい白ける作品になった。
だって、あの夫婦は、戦争がなくても悲劇で下劣だもの。
なので、作品としてはイマイチだが、寺島さんの演技と元ちとせさんの歌は価値がある。
もともと我も性格も強い寺島さんが、夫のいいなりにならざるを得なかったあの時代の女性を、見事とは言わないが、さすがに演じていた。
しかし、わずか80分の映画なのに、長かった。
タグ:キャタピラー
インセプション [映画]
思いっきり、ネタばれあります。
『インセプション』面白かった!
まず、夢の映像がすごい。CGを使わなかったと聞いたが、どうやって撮ったの? という画面が
次から次へ。
またその夢の概念が、好みだった。
街がロールしちゃって天井になってしまう画面。
よく見る、自分の夢で。
夢を好きに構築できたら、それは世界を構築できるのと同じだから、現実に不満のある人は、
夢から覚めたくないだろう。
こういうテーマは、大昔からSFのネタになっていたので、新しさはないけれど、
デカブー始めとしたキャスト陣のキャラクターが、とても魅力的。
特に、どさくさに紛れて、女の子にキスしちゃった俳優さん、名前調べな。
ラスト、デカブーが家に帰れたのは、現実なのか? それとも夢なのか?
あのコマが、ゆらゆらっとしたところで、エンディングロール。
うまい。
うますぎる。
監督、最高ッス。
ただ、細かいツッコミは多々ある。
「ここは現実ではない」と植え込まれたから、現実世界も現実だと思えなくなったのなら、
もういちど夢に入って、「目覚めたら現実である」と植え込めば、奥さんは救えたのではないだろうか?
あ、世界の KEN WATANABE も格好よかったです。
日本の誇りです。
『インセプション』面白かった!
まず、夢の映像がすごい。CGを使わなかったと聞いたが、どうやって撮ったの? という画面が
次から次へ。
またその夢の概念が、好みだった。
街がロールしちゃって天井になってしまう画面。
よく見る、自分の夢で。
夢を好きに構築できたら、それは世界を構築できるのと同じだから、現実に不満のある人は、
夢から覚めたくないだろう。
こういうテーマは、大昔からSFのネタになっていたので、新しさはないけれど、
デカブー始めとしたキャスト陣のキャラクターが、とても魅力的。
特に、どさくさに紛れて、女の子にキスしちゃった俳優さん、名前調べな。
ラスト、デカブーが家に帰れたのは、現実なのか? それとも夢なのか?
あのコマが、ゆらゆらっとしたところで、エンディングロール。
うまい。
うますぎる。
監督、最高ッス。
ただ、細かいツッコミは多々ある。
「ここは現実ではない」と植え込まれたから、現実世界も現実だと思えなくなったのなら、
もういちど夢に入って、「目覚めたら現実である」と植え込めば、奥さんは救えたのではないだろうか?
あ、世界の KEN WATANABE も格好よかったです。
日本の誇りです。
アット・ホーム・アット・ザ・ズー/シアタートラム [映画]
水曜日だけども。
当日券の予約。
電話で、番号が1番だった。
当日現場に行ったら、並んでいるのはアタシともう一人だけ。
当日券、2枚だった。
座席は有無を言わさず、D列の一番ハシ。
ハシなら、立ち見でいいのだが。
有無を言わさず当日券、7000円。
芝居の内容は。
なんで、1幕目足したのだろう?
2幕目の出来と天と地のほど差のある駄作なのだが、1幕目。
大御所に何も文句は言えなかったのかしら?
2幕目だけでいい。
1幕目いらない。
1幕目、小泉今日子の台詞のしゃべり方が、外国映画に声をあてている声優さんのような台詞廻し。
フツーでいいと思うのだが。
当日券の予約。
電話で、番号が1番だった。
当日現場に行ったら、並んでいるのはアタシともう一人だけ。
当日券、2枚だった。
座席は有無を言わさず、D列の一番ハシ。
ハシなら、立ち見でいいのだが。
有無を言わさず当日券、7000円。
芝居の内容は。
なんで、1幕目足したのだろう?
2幕目の出来と天と地のほど差のある駄作なのだが、1幕目。
大御所に何も文句は言えなかったのかしら?
2幕目だけでいい。
1幕目いらない。
1幕目、小泉今日子の台詞のしゃべり方が、外国映画に声をあてている声優さんのような台詞廻し。
フツーでいいと思うのだが。
ハート・ロッカー [映画]
渋い、渋すぎる。
いや、渋いとかcoolとかいう言葉がダサく聞こえてしまうほど、この映画は格好イイ。
人道的云々は、もちろん置いといての話である。
この稀にみる傑作と作品賞で張り合おうなんざ、面の皮厚すぎるぜ、『アバター』。
始め、この映画を女性が撮ったことに驚き、中盤で、女性だから撮れたのだということに気が付いた。
本当のハード・ボイルドとは、女にしか創れないものなのだ。
男が創ると、登場人物がどこかみみちっく、情けなくなる。
しかし、この映画の登場人物は、どこまでもイカしてる。
スナイパーと日が暮れるまで対峙するくだり、仲間にジュースをやるシーンが痺れた。
あの、どこまでも乾燥している砂漠地帯。
死以外、何もない世界。
爆弾を腹に巻かれ、男が爆発してる横で、平然と凧揚げをしている現地住民。
異常なことが多すぎて、異常でなくなってしまった世界の日常生活。
その、日常生活の中の、恐怖。
恐怖。
恐怖を越えるエクスタシー。
死を凌ぐ恍惚。
その世界を経験してしまった者は、もはや、まとまな生活には戻れまい。
子どもの頃、好きなモノはたくさんあった。
大人になると、それがつまらないものだったことに気づき、やがて、本当に好きなモノは一つか二つになる。
主人公の最後に残った好きなモノ。
それは、戦場にしかないものだったのだろか。
今年、今のところナンバーワン映画。
見て損はない。
いや、渋いとかcoolとかいう言葉がダサく聞こえてしまうほど、この映画は格好イイ。
人道的云々は、もちろん置いといての話である。
この稀にみる傑作と作品賞で張り合おうなんざ、面の皮厚すぎるぜ、『アバター』。
始め、この映画を女性が撮ったことに驚き、中盤で、女性だから撮れたのだということに気が付いた。
本当のハード・ボイルドとは、女にしか創れないものなのだ。
男が創ると、登場人物がどこかみみちっく、情けなくなる。
しかし、この映画の登場人物は、どこまでもイカしてる。
スナイパーと日が暮れるまで対峙するくだり、仲間にジュースをやるシーンが痺れた。
あの、どこまでも乾燥している砂漠地帯。
死以外、何もない世界。
爆弾を腹に巻かれ、男が爆発してる横で、平然と凧揚げをしている現地住民。
異常なことが多すぎて、異常でなくなってしまった世界の日常生活。
その、日常生活の中の、恐怖。
恐怖。
恐怖を越えるエクスタシー。
死を凌ぐ恍惚。
その世界を経験してしまった者は、もはや、まとまな生活には戻れまい。
子どもの頃、好きなモノはたくさんあった。
大人になると、それがつまらないものだったことに気づき、やがて、本当に好きなモノは一つか二つになる。
主人公の最後に残った好きなモノ。
それは、戦場にしかないものだったのだろか。
今年、今のところナンバーワン映画。
見て損はない。
しあわせの隠れ場所 [映画]
見たのは3週間ほど前なのだが。
原作を取り寄せていたのであった。
原作を読むと、映画はリー・アンを主人公にしてかなり脚色しているのがわかる。
だからといって、映画の質が落ちているわけではない。
むしろ、映画を娯楽作品に仕上げた、良質な脚本と言えるだろう。
予定調和は安心感をもたらすのだ。
私は、人間は環境によって人格が形成される、と思っていた。
しかし、マイケル・オアーを見ると、どうもそうとも言い切れないようだ。
彼は、アメリカ社会の最下層で、まともな教育も受けられず育ったが、
いつも根拠のない自信を持っていたようだ。
傍目から見れば、どうあがいても這い上がれない環境に身を置いていたのにも拘わらず、
マイケルは、いつか自分が何者かになると確信していたのだ。
だから、彼がショーンの家族と出会ったのは、偶然ではなくて、必然だったのではないかと思う。
映画でマイケルがテューイ家に泊まった翌朝、シーツ類がきれいに畳まれていた、というシーンがあった。
私は映画を見たときは、「飛ぶ鳥後を濁さずな、礼儀をわきまえている少年なんだ」と感心したのだが、原作を読むと、どうもマイケルは生来の潔癖症らしい。
部屋の中が常にキレイに片づけられていないと、落ち着かないタイプ。
たぶんマイケルは、リモコンとかも定位置にまっすぐ並べないと気が済まないタチだと思う。
そうか、そういうのって、環境ではなく、もって生まれたものなんだ。
結局人間は、運をつかむ奴はつかみ、つかんでも自滅する奴は自滅する。
運を開くも閉ざすも自分次第。
マイケルの劇的な人生の成功は、彼の運と類い希な努力で勝ち取ったものだ。
テューイ家が彼に援助したのも、マイケルという存在の影響が周囲に及んだ結果だろう。
ところで、映画ではテューイ家の奥様・リー・アンがクローズアップされているが、旦那様のショーンもなかなかの人物であり、その子供、コリンズとSJもデキた子供たちであった。
特に映画のSJは、子役が可愛らしくてうまかった。
つまりは、人ってたとえどんな環境に生まれ落ちようとも、
自分がしっかりと正道を見失わなければ、かならず道は開ける、ってことだ。
まあ大概は、道が開ける前に精神力が尽きてしまうのだろうけども。
原作を取り寄せていたのであった。
原作を読むと、映画はリー・アンを主人公にしてかなり脚色しているのがわかる。
だからといって、映画の質が落ちているわけではない。
むしろ、映画を娯楽作品に仕上げた、良質な脚本と言えるだろう。
予定調和は安心感をもたらすのだ。
私は、人間は環境によって人格が形成される、と思っていた。
しかし、マイケル・オアーを見ると、どうもそうとも言い切れないようだ。
彼は、アメリカ社会の最下層で、まともな教育も受けられず育ったが、
いつも根拠のない自信を持っていたようだ。
傍目から見れば、どうあがいても這い上がれない環境に身を置いていたのにも拘わらず、
マイケルは、いつか自分が何者かになると確信していたのだ。
だから、彼がショーンの家族と出会ったのは、偶然ではなくて、必然だったのではないかと思う。
映画でマイケルがテューイ家に泊まった翌朝、シーツ類がきれいに畳まれていた、というシーンがあった。
私は映画を見たときは、「飛ぶ鳥後を濁さずな、礼儀をわきまえている少年なんだ」と感心したのだが、原作を読むと、どうもマイケルは生来の潔癖症らしい。
部屋の中が常にキレイに片づけられていないと、落ち着かないタイプ。
たぶんマイケルは、リモコンとかも定位置にまっすぐ並べないと気が済まないタチだと思う。
そうか、そういうのって、環境ではなく、もって生まれたものなんだ。
結局人間は、運をつかむ奴はつかみ、つかんでも自滅する奴は自滅する。
運を開くも閉ざすも自分次第。
マイケルの劇的な人生の成功は、彼の運と類い希な努力で勝ち取ったものだ。
テューイ家が彼に援助したのも、マイケルという存在の影響が周囲に及んだ結果だろう。
ところで、映画ではテューイ家の奥様・リー・アンがクローズアップされているが、旦那様のショーンもなかなかの人物であり、その子供、コリンズとSJもデキた子供たちであった。
特に映画のSJは、子役が可愛らしくてうまかった。
つまりは、人ってたとえどんな環境に生まれ落ちようとも、
自分がしっかりと正道を見失わなければ、かならず道は開ける、ってことだ。
まあ大概は、道が開ける前に精神力が尽きてしまうのだろうけども。
恋するベーカリー [映画]
タイトルからしてアレだが、内容はなかった。
裕福な中年の男女がくっついて離れただけのお話。
原文ならもっといろいろウンチクのあるセリフを言っているのだろうが、字幕じゃ、それこそスパスパと話がながれるだけ。
最後のほう、別れるのか別れないのか、妙にストーリーをいじくりまわしているのが気に障る。
だがしかし。
メリル・ストリープは安心して見られるし、子供たちも可愛いし、主人公が住んでいる家や経営しているべーカリーもとってもお洒落なので、目に美味しい。
50歳過ぎて、子供たちはみんな可愛くて立派に成長し、自分は仕事も財産もあって・・・って、ウラヤマな人生だわ。
アタシも、「NYはどこに泊まる? パーク・リージェント? フォーシーズンズ?」とかサラっと言ってみたい。
1泊6万くらいよね。
デートの暇つぶしにはちょうどいい映画。
人間失格 [映画]
監督は最初から「生/田/斗/真を綺麗に撮ることが目標」と逃げていたので、そういう作りになるだろうなと予想したとおりの映画だった。
もともと、文章で表現されているものを映像で表現するのは不可能なのだ。
映像はどうしても第3者の情報が画面に入ってしまうからだ。葉蔵の主観だけで映像はまとめられない。
すると、どうしても荒戸監督のようなまとめ方に行き着いてしまうのかもしれない。
ただ、最後の鉄とのシーンは蛇足だと思う。
たとえ鉄が葉蔵を生み直しても、葉蔵は生き返らない。
死んだまま生き続けるだけだろう。
役者に関して言えば、生田は映画初出演初主演の大役をよくこなしていた。
いかほどのプレッシャーだったかと思う。
ただ、葉蔵という役は、他の顔の綺麗なジャニタレなら、誰でも代われるのではないかと思う。
なぜならば、「女を惹きつけてしまう」要素をもってなければ、ジャニタレとして生き残れない。言い換えれば、「女を惹きつけてしまう要素をもっているジャニタレなら誰でも、荒戸監督の大庭葉蔵は演じられる」ということだ。
話はずれるが、「生/田/斗/真を美しく撮る」という点について。
たしかに、『人間失格』のなかの生田はとても美しい。
ただそれは、生田のほんの一面の美しさにすぎない。
生田の本当の美しさは、「闘志に燃える右目」にある。
『あずみ』で千人切りをこなした「ウキハ」の眼であり、『Endless SHOK』での劇中劇で山賊の頭領として刀を振るう「トーマ」の眼である。
あの闘志の瞳を荒戸監督は見たことがないだろう。
そして、中津以降にファンになった人も見たことはないだろう。
あの瞳が、映像に残らないことが非常に残念だ。
生命力を封じられる葉蔵役では、望むべくもない。
話を映画本編に戻す。
私は主人公の役者贔屓なので、映画を最後まで退屈せずに見ることができたが、生田のファンでもなく、『人間失格』を読んだことのない観客は、退屈せずに最後まで見られるだろうか?
なんせ、説明がないのである。
とあるラジオの女性パーソナリティなんぞ、「出てくる女みんな悪い女」とのたまっていた。
「大人の事情」のしがらみのない、まっさらなままで見た方の正直な感想を聞きたいものである。
タグ:人間失格