サド侯爵夫人/世田谷パブリックシアター [演劇]

万斎さんの『サド侯爵夫人』も観たのであった。

去年の蜷川さんのがあまりにもアレだったので、まさにお口直しした気分。
そーよ、そーなのよー。
こういうサド侯爵夫人が観たかったのだ。

第一幕の前半、サンフォン、シミアーヌ、モントルイユの3人が並んだとき、「女、こえー」と思った。
もう、女三人並んだだけで、いろんな打算や駆け引きが垣間見えて、こえーって。

だから、男性がやってもムダなんだっって。サド侯爵夫人の芝居は。
いくら平さんが名優でも、母性まで出せまい。
母性を超えた女同士の死闘なんて、とうてい演じられまい。

蒼井優ちゃんは、オセローのデズデモナのときも思ったけど、
舞台に出た瞬間の、観衆の目を釘付けにするあのオーラは凄い。
顔立ちはどちらかというと、可愛い系なんだが、登場した瞬間「美女!」と思ってしまう。
なんて、魔力。

そして、万斎さんはルネをどう解釈して、優ちゃんに演じさせるのかと楽しみにしていたら、
これも予想の斜め上を行って、楽しかった。

貞淑に夫に仕えていた無垢の少女は、長い戦いを生き抜いて、
最後には夫を赤いハイヒールで踏みつけにする猛女になりました。
ええ、もちろん外観は可憐な少女のままですが。

2幕目のラストだったか、母親から「打ちますよ!?」と恫喝されて、「ええ、どうぞ」と左頬を差し出したときの優ちゃん。

怖かったです。


総括すれば、面白い芝居は、どんなに台詞が長くても、一瞬も飽きる隙はない。

去年のサド、ヒガシくんの台詞廻しの平坦さに、殺意さえ抱いたもの。
あれが演出なら、完全に失敗でしょ。


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シンベリン/さいたま芸術劇場 [演劇]

ネクスト・シアターのハムレットも観たのであった。


シェクスピアの力技ストーリー展開は慣れてるし、流行作家にありがちなキャラと設定の使い廻し(にちょっと後ろめたかったのか、ギリシャ悲劇のゼウスが出て来ちゃったりしてるけど)は慣れてはいるものの、今回はあんまり劇中トリップできなかった。

理由は。。。。。。


なんで大竹しのぶなの?

いやね、技巧で年齢を超越するってのはアリかもしんないけど、
アタシャ人間国宝が踊る娘道成寺にさえ感銘を受けないタイプのバチ当たりなんで、
冷めてしまうんです。
遠目ならまだしも、オペラグラス使うと現実に返る。
それに、大竹さんもう飽きた。。。

他に若手の女優はいないのか?

なにゆえに、蜷川さんは男優の使い方は上手いのに、たまに脳内が腐女子とシンクロしてるんじゃないかっつーくらい、男優さんに素敵な格好やあんなことやこんなことさせるのに、なんで若手の女優さんを使うのは下手なのか。

だから、大竹しのぶなのか。
田中裕子なのか。


戦争に赤子の泣き声とサイレンとか、拍子木とか、和洋折衷とか、最後後ろの扉が開いて世界転換とか、歌舞伎みたいに形式美として成り立たせちゃう方向なのはわかりました。



窪塚くん。
あの独特の台詞回してシェイクスピアの長台詞どうするんだろー? とワクワクしていました。
ちょっと押さえ気味だったけど、いい感じです。
何よりも彼の突如爆発する狂気は、どの役者にも表現できないもの。
好きですねー、役者として。


もう一度くらい観よっかなー。
つーか、ロンドン行って、向こうの観客の反応が観たい。
勝村さんのところ。

















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