サド侯爵夫人/世田谷パブリックシアター [演劇]

万斎さんの『サド侯爵夫人』も観たのであった。

去年の蜷川さんのがあまりにもアレだったので、まさにお口直しした気分。
そーよ、そーなのよー。
こういうサド侯爵夫人が観たかったのだ。

第一幕の前半、サンフォン、シミアーヌ、モントルイユの3人が並んだとき、「女、こえー」と思った。
もう、女三人並んだだけで、いろんな打算や駆け引きが垣間見えて、こえーって。

だから、男性がやってもムダなんだっって。サド侯爵夫人の芝居は。
いくら平さんが名優でも、母性まで出せまい。
母性を超えた女同士の死闘なんて、とうてい演じられまい。

蒼井優ちゃんは、オセローのデズデモナのときも思ったけど、
舞台に出た瞬間の、観衆の目を釘付けにするあのオーラは凄い。
顔立ちはどちらかというと、可愛い系なんだが、登場した瞬間「美女!」と思ってしまう。
なんて、魔力。

そして、万斎さんはルネをどう解釈して、優ちゃんに演じさせるのかと楽しみにしていたら、
これも予想の斜め上を行って、楽しかった。

貞淑に夫に仕えていた無垢の少女は、長い戦いを生き抜いて、
最後には夫を赤いハイヒールで踏みつけにする猛女になりました。
ええ、もちろん外観は可憐な少女のままですが。

2幕目のラストだったか、母親から「打ちますよ!?」と恫喝されて、「ええ、どうぞ」と左頬を差し出したときの優ちゃん。

怖かったです。


総括すれば、面白い芝居は、どんなに台詞が長くても、一瞬も飽きる隙はない。

去年のサド、ヒガシくんの台詞廻しの平坦さに、殺意さえ抱いたもの。
あれが演出なら、完全に失敗でしょ。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。