ヘンリー六世/彩の国さいたま芸術劇場 [演劇]

あーーーーー、ひさっしぶりに面白かった。
やっぱり、蜷川さんのシェイクスピアは面白い。
まったく、予習ナシで行ったので、時代背景を少ない知識を総動員して繋ぎ合わせる。
「薔薇戦争」シリーズの1作だったよね。
三部構成を前編・後編にまとめてあった。

シェイクスピアってネタの使い廻しするし、往時の慣習でどうでもいい民衆の場面とか入ってくるから、その辺すっきりさせて、3,4時間ほど削ったんだろう。

上演時間6時間という長丁場ながら、退屈しなかった理由は、ひとえに「衣装」だっ!
蜷川シェイクスピアやカリギュラもそうだけど、ロングスカート+長衣という衣装、大好きっ。
あれ、イイ男が着ると映えて映えて。
しかも、『ヘンリー六世』は、戦争に継ぐ戦争に継ぐエンドレス骨肉の争い、恨みの応酬限り無し、なもんだから、ロングスカートの上に甲冑姿という、激モエコスプレ。

そのうえ、血まみれ多用。
死体を模した肉のかたまりや、ヨーク家の白薔薇、ランカスター家の紅薔薇が、天井から降ってきて。
ニナガワ・ワールド全開です。

役者さん。

吉田さんや、横田さん等、蜷川組はもちろん、文句のつけようもなく、大竹しのぶは相変わらずの舞台征服者っぷりで、こえぇぇぇぇぇぇぇぇぇっぇ。


特筆すべきは、池内博之と高岡蒼甫。

池内、リア王から、ものすごい進歩っぷりだ。
いったい、君に何があったのだ?
あの、恋のに溺れるセリフを応酬させる技術、いったいどこで身につけた?
容姿も、以前はマイナスに作用してたようだが、今は、そのエキゾチックな顔を武器にできる。
なるべくなら、東西拘わらず、時代モノ希望。


そして、高岡蒼甫。
あんなにデキる役者とは思わなかった。
まだ、25,6だよね?
声が綺麗だし、よく通るし、独特の危うさと、捨てられた子犬のような瞳は、『リチャード三世』に填っていた。

アタシの『リチャード三世』は、外見は歪んでいても、顔は美しくなければならんのだ。
そして、ほっとけない寂しさを漂わせていなければ。
高岡蒼甫そのものじゃないか。
よくぞ、グロスター公リチャードの役を振ってくだすった、ニナガワさん!

ただ、あの背中のコブはやりすぎだよーーーーー。


ちなみに、シェイクスピアはランカスターの末裔のエリザベス1世の政権で庇護されていたので、当然、敵であったヨーク家のリチャード三世は、ものごっつー、悪役になってます。
彼があそこまで悪人イメージをつけられてしまったのは、ひとえにシェイクスピアのせい。
実際のリチャード三世は、せむしやびっこではなかった、という説もあります。
もちろん、甥殺しもしていない。

反面、エリザベート1世の父親、ヘンリー八世は、無意味に褒め称えてるよね。


なにはともあれ、ニナガワさんのシェイクスピアは麻薬のようだ。
あの凄まじいまでの感情を役者に吐き出させ、しかも6時間も体力勝負させる蜷川さんは、アクマ。

だから、好きなんですけども。
少なくとも100歳は生きてくださいね。



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